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先生からの電話だ……
どうしよう。
出たほうがいいのかな?
あたしは恐る恐る携帯を手にとって通話ボタンを押す。
ピッと音がした直後にあたしは、
「先生……?」
無意識に、”先生”と口に出していた。
ドクンドクンと治らない心臓。
こんな時に電話なんて掛けてきて……一体なんの話なんだろう。
もうあたしと先生はただの”先生と生徒”なのに。
『出るの遅ェって!』
電話の向こうから聞こえた声は、
どこか焦ったような感じだった。
少し、怒り気味の……でも、どこか寂し気に聞こえた。
『もう……出ないかと思った』
その次に聞こえてきたのは、
とても切なそうな声。
そんな声を、耳元で囁かれたら……
先生のこと諦められなくなる。
「出ないほーが良かった……んですか?」
声が、震える。
ちゃんと、話せてるかわからないけれど……
前みたいに、「先生っ!」なんて言えない。
前みたいに、気安く話しかけることなんてできないよ……
触れた窓は、外の吹雪でガタッと揺れていた。
まだ止みそうにない。
まるで、せっかく溶け始めた氷が再び凍り始めたようだった。
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