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先生は付き合ってた頃のように、
普通に話しかけてくれる。
付き合ってた頃には、何度も電話をしてたっけ。
何も用事がないのに電話かけて声を聞いて。
仕事疲れな先生。
朝起きたときの先生。
そんなに頻繁では無かったけれど、何度か電話をしたことはある。
それさえも、もう思い出になっちゃうんだ。
何もかも、過去になってしまって続くことはないんだ……
『なんで敬語?話づらい……』
ふーー……っとため息に近い吐息が、電話ごしに聞こえる。
でもため息じゃなくて。
きっと、いつものタバコを吸ってるんだと思う。
先生の、大人なカオリ。
タバコを吸う先生の姿が、頭の中で過ぎった。
ーー先生の声が……
こんなに近くで感じるのにもう……
「先生と……生徒ですから」
届かない……
もう、先生の隣にいることが出来ないんだと思うと。
とてつもなく胸が締め付けられるように苦しくなった。
そんなあたしの助けが伝わったように。
コンコンッ
ガチャッ
「高月?」
世良君が来てくれた。
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