新しい恋

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お風呂上がりの世良くんは、 身体も火照っていて頬が真っ赤だった。 まだ濡れている髪の毛の先から、 水滴がポタリと落ちる。 「ごめん……電話してたの知らなくて……」 パサ……と頭にかぶっていたタオルが世良くんの肩に落ちる。 それと同調するように世良くんの眉は下がっていた。 あたしはその場で蹲る。 なんとなく?……ううん。 世良くんに会わせる顔がなかった。 また、泣き顔を世良くんに見られちゃった。 「電話、先生……?」 世良くんの声は、 どこか震えていた。 あたしは慌てて制服で涙を拭く。 先生と話してて泣いてるなんて…… まだ未練が残ってるって思われちゃう。 トクン…… 「誤解しないで?ちゃんと……もう先生と生徒だって言ったから」 そう言う彼女は、 どこか元気じゃなかった。 無理をして、言葉をツラツラと並べる。 トクン…… トクン……ッ 「そうだ、来週のクリスマス、予定なければうちでご飯食べない?」 「お父さん、海外出張で上海行くって言っていたから年末まで帰ってこないし……」 元気に見せるように 声も明るくなってる。 そんなのバレバレだよ。 高月…… どうして…… まだずぶ濡れの髪からは 水飛沫がポタリと落ちて部屋を濡らしてゆく。 無理に笑顔を作っている彼女は、さっきまで繋がっていた電話をポケットにサッと隠した。 そして、まだ彼女は急に饒舌になったように話を続ける。 「私、実は初めてなんだ。イブに男の子と過ごすなんて」 「高月……あのさ、」 「お母さんもなんか世良くんの事気にいってるみたいだし」 「そーじゃなくて……」 「何か食べたいモノとかある?おかーさん凄い料理上手なんだぁ」 涙がまだ拭いきれていないまま、笑おうとする高月。 無理していることが十分わかる。 俺がいたから、だから泣いているってことなのか? 俺は…… 高月を泣かせてしまってるんじゃないのか……?
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