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重い空気の中、
俺はずっと高月を見ること鹿できなかった。
傷つけてしまったことに罪悪感が押し寄せ、だんだん表情が暗くなる。
それなのに、高月は……彼女は言ったんだ。
「あたしが嫌なの……!先生を好きなままの自分じゃ……」
「高月……」
「世良くんがまっすぐ見てくれてるから……あたしも世良くんだけを見て好きになりたい」
高月の言葉が、
俺の心にスッと入ってくる。
最初は何言われてんのかわかんなくて、何度も高月の言葉を頭の中でリピートさせる。
俺は……
高月の側に居てもいいのか?
高月の心の支えになることができているのか?
そう思ったら、
一気に体温が上がったような気がした。
お風呂上がりよりも、
さらにもっと熱くなってくるのがわかる。
「…………っ」
「ねぇ、世良くん……」
「…………」
高月は、俺の目を見て言った。
本当の、本当に……俺のために言葉をかけてくれる。
真剣な表情を向けて、
高月は言葉を続けた。
「先生のこと……すぐに忘れるのは無理かもしれないけど。今日、世良くんが来てくれてあたし凄い嬉しいって思ったもん」
「…………」
「無理に先生を忘れる努力なんかしなくても、世良くんを知っていくたびに世良くんへの好きの気持ちが増えていくと思うんだ」
「…………」
「こんな恋の始まりの恋もあるんだなって思うほど、今……凄く世良くんに惹かれてるよ」
一度たりとも、
高月は俺から目を離さなかった。
本気で、俺とのことを考えてくれているんだってことが伝わってくる。
今日まであまり話すことも無かったし、ましてや家に勝手に来て迷惑なことをしてしまったと思っていたのに…
高月の言葉が
予想もしなかったものばかりで。
俺の心臓は高鳴っていった。
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