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ザクッ……
ザクッ……
積もった雪に、一番に足跡をつけてゆくあたしたち。
白銀の世界の道に二人分の足跡が仲睦まじい様子で後を続いていた。
まだその足跡を消していくように雪はしんしんと降り続けていた。
「休校になれば良かったのにな」
「これくらいじゃならないよ」
ハァッ……と息を吐けば、
真っ白い吐息から透明になって消えてゆく。
寒くて凍えそうな気温のはずなのに、あたしの心はとても暖かかった。
だって、隣を見れば世良くんがいる。
きっと、もっと……
あたしは世良くんを好きになる。
家から学校まで一緒に登校するあたしたち。
ちょうど、校門が見えてきたくらいにあたしたちは別れた。
「じゃ、オレも着替えてからすぐ行くから。後で学校で逢おう」
「うん、待ってる。遅刻しないよーにね!」
「おぅッ」
そう言って、世良くんは笑顔を見せて学校を後にする。
あたしはそんな世良くんの姿が見えなくなるまでずっと学校の門前で立っていた。
さっき別れたはずなのに、
早くまた逢いたくなるこの気持ちはきっともう恋なんだろう。
そう思ったら嬉しくなって。
あたしは緩んだ口元をマフラーで隠しながら校舎へと入っていった。
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