I wish you be Happy forever...

6/8

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
あたしはちゃんと、 言わなきゃダメだ。 先生の幸せのために。 あたしの幸せのために。 二人の、幸せのために…… 「サヨナラ、先生。本気だった……大好きだったよ」 これで、正真正銘の最後。 あたしと、先生のお別れ。 ちゃんと笑えてるかな? 泣いてないよね? だって、あたしの心の中に先生は居ないから。 先生よりも、もっと大切な人を見つけたから。 ハッキリと別れを告げたあたしを見て、 先生は俄かにホッとした表情をした。 「今度こそ本当に安心した……」 すると、先生は全て拾い上げた紙の中から何やら探しだし、 あたしに一枚の紙を渡した。 「オレもな……ありがとう。……さようなら」 それは、この間受けたはずの英語のテストだった。 『高月 比奈』とあたしの字で書かれたあたしの答案。 そのテストは、大好きだった三好先生の教科。 だから、頑張った甲斐があって九十点という高得点の数字が先生の字で書かれていた。 あたしはそのテストの答案を受け取った。 「今回のテスト、頑張ったな」 先生はそのまま、カタン……と音を鳴らして教室を出て行った。 あたしにとっての最高の言葉を残して。 あたしはその背中を見ずに、 ただ渡されたテストの答案で顔を隠すようにぎゅっ……と握りしめていた。 先生の足音が聞こえなくなるまで、 ずっとそうしていた。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加