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「本当に俺も行っていいの?」
「もちろん!招待状にもちゃんと書いてあったでしょ?"二人で来てください"って!」
「そうだけれど……」
真っ黒いスーツを着て引き締まる彼の姿は、どこかぎこちない様子であたしの方を見る。
あたしはその様子を見ていると、どこかおかしくってつい頬を緩めてしまう。
微笑むあたしを見て、恥ずかしいのか彼の頬がほんのり紅くなったような気がする。
「だって……確かに俺もお世話になったけれど、出席してもいいのかどうかは別じゃん」
「でも、あたしは二人で行きたいな。……ダメ?」
「…………っ」
必殺の上目遣いを取り出しては、彼の姿を見る。
すると、ますます彼の頬が真っ赤になって、耳まで紅くなるのがよくわかる。
そして、どこか悔しそうな顔をしてあたしに言った。
「それ、反則だから……!!」
「え?何のこと?」
「比奈」
「…………っ」
優しいその声で名前を呼ばれるのは、まだどこか慣れなくて。
あたしは未だに照れてしまう。
そんなことは露知らず、彼は仕返すつもりであたしの背中から抱きしめる。
「海斗……」
世良…海斗くん。
あたしの大好きな彼氏。
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