17人が本棚に入れています
本棚に追加
長い髪を高くツインテールにし、
アイロンでくるくると巻いた髪がくすぐったいと揺れる。
今日のあたしは少しお洒落をして、薄紫色のパーティードレスを身にまとっている。
「捕まえた」
「捕まえるも何も、さっきから海斗の近くにいたのに」
「いいじゃん」
そう言って、あたしの腰に手を回す海斗はどこか寂しげな声を出す。
構って欲しいのだろうか、そんな時間はあたし達には許されなかった。
ノックの音も無く、唐突に開かれた部屋からは、あたしのよく知る人……お母さんが顔を覗かせていた。
「二人とも、用意はちゃんと出来……あら?」
「おっお母さん!!」
「!!?!?」
「お邪魔しちゃったかな?」
「違うの!これは!!ほ、ほら海斗も準備できたなら行くよ!?」
「う、うん!?」
お母さんの姿を見たあたしは、すぐさま海斗から離れる。
慌てて携帯や財布、ハンカチを入れたポーチを手に持つと、海斗の準備ができるのを待った。
海斗も準備ができたようで、再びネクタイをキュッと締めなおす。
その姿に見とれていただなんて、本人に言うつもりは無い。
カッコイイ、なんてね。
バタバタと急いで用意をして、あたし達は部屋を後にする。
向かう先は、結婚式場。
かつて、
あたしの恋人だったあの人の結婚式_____
最初のコメントを投稿しよう!