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教室にはクラスメイトが忘れて帰ったであろう鞄が残っていた。
鞄の柄からして男子のものだろうが、今のあたしにはそんなことを気にしていられる余裕はなかった。
早く、この教室から
早く、先生から
早く、この場所から離れたかった。
「先生」
用意を終えたあたしはすぐさま教室のドアへ向かい最後に言った。
「もう下の名前で……呼ばないで」
言い終えるとあたしは廊下を走って出て行った。
『ひな…』
まだ先生の声が耳に残っている。
あたしの大好きだった声…
でも、もう呼ばないで。
『ひな…、オレ…』
名前なんて呼ばないで…
先生はもう、あたしだけの先生じゃないんだから……!!
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