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「はい……!!」
力強くその言葉に頷いた海斗。
それとともに、繋いだ手に強い力を感じた。
ああ、やっぱりこの人を好きになって良かったと実感する。
「先生、幸せになってね」
「高月もな」
「だから比奈は俺が……!」
「そうだったな。じゃあ、また後で」
「先生!」
先生は、時計を見るなり急いでこの場を離れた。
もうすぐ式は始まるようで、ほとんどの人が教会の方へ移動し始めていた。
「ありがとう、海斗」
「……比奈」
「あたし、海斗のこと好きだよ?」
「……っ!そ、それは反則だって……」
何が反則なのかはわからないけれど、海斗はまた頬を真っ赤に染める。
なんだか、言ったあたしまでも照れてしまう。
そのまま、海斗は何も言わずにあたしの手を引っ張って歩き出す。
あたしは、それについて行くように歩き始めた。
先生。三好先生。
ありがとうございました。
あたしは、先生と恋愛することができて良かったと思います。
あんな別れ方しちゃったけれど、先生があたしのことをちゃんと愛していてくれたこと、知ってました。
遊びの関係じゃなくて、あたし達はちゃんと愛しあっていたことが嬉しかった。
都合の良い女を演じていたあの頃のあたしは、まだ子供で。
今もまだ子供だけど、先生付き合っていた頃よりも大人になれたかな?
……大好き、でした。
さようなら、三好先生。
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