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あれから、俺はさっさとエレベーターを降りて購買に行こうとしたのだが、槙斗が自分一人で行くと言って聞かなかったので庭園で一人待っている。
それにしても。
槙斗の心が成長していたとして、あいつは過去を受け入れられるだろうか。
あいつは過去から逃げたくないと言ったがその為には過去ときちんと向き合わなければならない。
あいつにそれが、出来るだろうか。
………いや、それよりも。
俺がまず、あいつに真実を伝えられるだろうか。
……俺自身、過去に向き合えるだろうか。
後悔しかない過去を、しっかりと受け止められるだろうか。
やらなければならない事はたくさんあって。
新入生歓迎会や転校生の後始末。
風紀との連携の話し合いに、親衛隊の混乱の終結。
そんな中で俺は過去と-----
………いいや、既に俺は過去と向き合っていたのか?
過去を受け入れているのか?
俺は過去を忘れた事もないし、過去を封じた事もない。
それは過去をきちんと受け止めている事になるのではないのか?
………………なら、何故俺は前に進めていない?
分からない。
分からない。
………けど、一つだけ分かるのはもう俺には失敗は許されない。
何かに失敗すれば、気まぐれな東はもう協力なんてしてくれないだろう。
そしてまた“あの人”も俺を許しはしないだろう。
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