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カタカタ カタ カリカリ
キーボードを打つ音や、ペンで書きこむ音が静かな生徒会室に響く。
生徒会の職務は、教師のそれを凌ぐ。だからこそ、この学園での力関係は常に生徒会がトップだ。そして生徒会には様々な特典がつく。勿論、それ程に責任も重大だが。
生徒会の仕事には、各イベントの統括、予算の管理、果ては改修工事の見通し等多岐に及ぶ。普通に大変だ。
しかし、こいつらは余り意欲を持って仕事に向き合う事はない。いや、副会長は違うか。
いずれにせよ皆が真面目な時は、物凄く頼れるんだけどな。これが長く続かないから困ったもんだ。顔で選ばれた生徒会と言っても、身内贔屓かも知れないがこいつらは有能揃いなんだ。
だからこそ多少サボっても取り戻してしまうし、割と何でもこなしてしまう。
俺としてはコンスタントに仕事をして欲しい。
まあ、一時的でもやる気を出してくれた事は喜ぶべきかも知れないが。
俺は自分の分の仕事を終わらせ、席を立った。
『終わったぞ。先に行って用意しておこうか。』
「ん?もう昼か?」
「そうですね。もうそろそろ鐘も鳴るでしょう。蒼流お願いできますか?」
「「いつもごめんねー。ありがとー、蒼流。」」
「……お、れも。」
「蒼流のおかげでぇーいつもスムーズにーいくからぁ感謝してるよぉー。」
きちんとお礼を言えたり、人を使う事に少しでも悪いと思っているのは、偉いと思う。
自分の立場を理解している証拠になるからな。お金持ち坊っちゃんにしては、その辺り良い具合に成長したんじゃないかと思う。当たり前と言えば当たり前なんだが、この学園では少数派だ。驚くべき事に。
『ありがとう。なら、行ってくる。』
俺はこいつらに微笑んでから生徒会室を後にした。
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