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どうやら、騒ぎの中心は三人の生徒らしい。俺は目を細めた。
あれは、2-Sの石崎 翔と2-Eの大上 誠か?後もう一人は…。これは面倒な。本当にそのまま来たのか。
そいつはもさもさの黒い鬘に何時の時代だと突っ込みをいれたくなるような大きな眼鏡をしていて、はっきり言うと昔のオタクの様な容姿だ。
そいつの側にいる石崎 翔は簡単に言うと爽やかスポーツマンで大上 誠は一匹狼の不良だ。
どちらも顔が良い為あの転校生は危ないな。成程、誹謗中傷は彼等二人の親衛隊から転校生への牽制か。
転校生。そう、転校生なのだ。あの黒いもじゃもじゃ鬘と馬鹿でかい眼鏡の生徒は。
副会長は本当にあれに嘘笑いを見抜かれたのか。転校生には悪いが、信じがたいな。
それに、この学園の悪い癖が出ている。完全なスクールカーストだ。見目の宜しくない転校生が見目の良い生徒を連れだって歩いている。ひっきりなしに飛ぶ中傷。オタク、キモい、ウザイ、ああ、死ねとかこれから覚悟しとけ等も言われている。転校初日でこれか。先が思いやられるな。
親衛隊は少なからず権力を持っている。容姿、家柄が良い奴の親衛隊のトップが、それ相応の容姿と家柄を持つのは必要不可欠だからだ。ああ、もう問題勃発だ。
…しかも、それだけじゃなく、恐らくは一般生徒だと記憶している生徒まで中傷を口にしている様に見える。此処では、何度も言うが何よりも家柄と容姿が重要視されるからな。わざわざ言わなくても、あんなランキングがある時点で分かるだろうが。
しかし、当の本人、転校生や石崎、大上は気にも止めていないらしい。辛うじて石崎だけが周りに苦笑を返している。
面倒な予感だ。
まあ、今はそれは置いておいて。あいつら何処へ向かっているんだ。空いている席は通り過ぎている。
あいつらが進んでいる方向に目を向ければ、自然と眉が寄った。
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