食堂は食事をする所だ

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そこには先程俺が説明した親衛隊、それもよりにもよって生徒会親衛隊総隊長と副総隊長がいた。 それに気づいたいくらかの野次馬が親衛隊へ嫌悪の目線を向けた。だが、総隊長達は無視を決め込んでいるのか反応を示さない。 動けるようにしていた方が良いのかもしれない。俺は生徒会庶務だからな。仕事はこなす。 しかし、この上に生徒会が来れば問題が起こる事は間違いなしだな。 総隊長の近くまで行った転校生はと言えば、何の躊躇もなく彼等に声をかけた。 その行為は珍しい。此処の常識を知らないのか、それとも無鉄砲なだけか。 「太郎!お前もここへ来てたんだな!なんで誘った時一緒に行かなかったんだよ!」 転校生の声が大きいせいで此方まで丸聞こえだ。それにしてもキンキンと響く声だな。 と言うか、太郎とは誰だ。確か総隊長は2-A の東 琥太郎で、副総隊長も同じく2-Aの柳影 優なはず。 琥太郎の太郎だけで呼ぶのは可笑しいだろう。もしかして偽名か?いや、偽名と言うには安直すぎるか。 「返事しろよ!友達なんだからよ!ってゆーか、そっちの奴誰だよ!?名前教えろよ!!」 どうやら只の無鉄砲者らしい。覚悟はしていたが。…あれは辛いだろう。総隊長の顔なんてひきつっている。 俺も正直転校生の下手な変装、口調、声のボリューム、思考回路、どれを取っても理解できない。 しかし、石崎と大上は不服そうだ。あくまで転校生の味方に付くらしい。淫乱だから近づくな、なんて言葉が聞こえてくる。顔が良い生徒ほど親衛隊を嫌っている節があるからな。本末転倒だ。 だが、転校生はそれでも懲りずに総隊長達に話しかけている。俺には全くもって厄介そうな関係にしか見えないのだが。 どうしたものか。
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