食堂は食事をする所だ

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食堂の扉が開いたのだ。入り口の近くにいた奴らがそれに気づき、悲鳴をあげる。その声の大きさに驚いた転校生は、何事かと殴るより前に振り返った。 入ってきたのは、生徒会メンバーだ。会長を先頭に、すこぶる顔の良い一行の登場。 生徒達は、転校生等忘れた様に生徒会メンバーに声を上げた。 「宮古島様っ!宮古島様ぁ!!」 「か、会長っ…!抱いてください!」 「格好いいです!会長様!」 「ああ、雅様っ!どうか僕を踏んで下さい!!」 「ちょっと、五月蝿いよ、佐紀様が嫌そうにしてるでしょ!」 「それでも雅様はお美しい!!」 「み、峰塚様っ、抱かれたいです!どうか今夜、お相手を!!」 「なに抜け駆けしてんの!峰塚様、ぼくを、ぼくをお選び下さいっ!!」 「緑華様、紅花様!今日もお二人揃って可憐です!」 「ああ、本当に素晴らしい…!双子の神秘だ!」 「だから五月蝿い!佐紀様が怯えてるってば!!」 とりあえずは、セーフか。 まあ、根本的解決にはなっていないし、むしろ問題は肥大するが。 俺が一人溜め息を吐く間にも生徒会メンバーは着々と転校生の方へと向かって行く。 槙斗以外の生徒会メンバーは何時もと違う食堂の雰囲気を不謹慎にも楽しんでいる様子だ。槙斗は高い背を縮める様にして歩いている。あいつは賑やかなのは苦手だからな。 俺もそろそろ行かないと。あいつらは絶対問題を起こすから近くにいた方が良いし、午後からも仕事はあるのだ。 さっさと食事を取り、戻らせなければならない。生徒会は暇では無いのだ。 それに、いくら生徒会だから授業を免除されているといっても少し位は授業にも出た方が良いと思うしな。 早く仕事を終わらせて、授業に出る時間を作りたい俺は、生徒会専用席から降りていった。 勿論、生徒会や転校生達が居る所に集中している生徒に気付かれないように。
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