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そして野次馬の近くまで歩き自分もその一人として生徒会達の方を見る。
此処なら会話もよりはっきり聞こえる。
早く呼びに行って食事を取らせたいけれどあいつらの機嫌が悪くなると後が面倒だ。
だから俺は問題が起きるギリギリまで見ている事にした。
…が、副会長は転校生に抱きつき、双子もそれぞれを見分けてもらった事で抱きつき。槙斗は、言葉を理解してくれた事で懐き。会計はセフレがどうのこうのと説教する転校生が気に入ったらしい。
勿論周りはそれを受け入れない。親衛隊の奴らは無論尋常じゃない程ピリピリしている。
これはもう許容出来ない。あいつらの機嫌が悪くなっていたとしても、俺が直ぐに二階へ引っ張って行くべきだった。判断ミスだ。
けれど、此処で俺が出ていっても状況は酷くなるだけ。
あいつらにとってそれぞれを見分けてもらったり、言葉を分かってもらう事が重要だと言う事は知っているが。
ついさっき、立場を理解していると誉めたばかりなのに。これでは撤回しなけらばならない。
確かにあいつらは自分の立場を理解しているが、理解していただけなのかもしれない。
それに付随する問題は完全無視の方向らしい。
わざわざ此処でしなくても良いだろう行為の数々に、止める事が出来ないのを歯痒く思いながら見ていれば。会長が己に歯向かったからと転校生へキスをした。
頭痛を覚えながらも、一線を越えた事を悟る。これは、喜ばしくない。
先程までの非日常ながらも幸せに感じた日々が、崩れて行くのを予感する。
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