食堂は食事をする所だ

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『これ以上問題を起こすと風紀が来るぞ。ここは俺が責任を持つからお前らは二階へ上がって食事を取ってこい。もう用意されている筈だ。』 言っている事は分かるなと言わんばかりに会長を見る。 しかし、それでも動こうとしない生徒会メンバーに呆れを表す溜め息と共に言葉を吐き出した。 何時もはもっと俺の話をすんなり聞いてくれるんだがな。それだけ、この転校生が気に入ったのか。 早速変わり始めている生徒会メンバーに、俺は現状を取り敢えず完結させる為妥協を持ち出した。 『転校生も連れていって良い。特例だ。さっさと行け。槙斗、転校生を頼んだぞ。』 すると槙斗は俺の言いたい事が分かったのか首を縦に振り転校生を俵かつぎにして生徒会専用席へ向かう。 「なっ、ちょっ、なんだよ!担ぐなよ!!俺は男だぞ!」 生徒会の他の奴らも騒ぐ転校生が居れば良いのだから槙斗の後を追いかけ、歩き始めた。 俺はもう一度溜め息を吐き出して周りにも声をかける。 『騒ぎを起こして悪いな。けれど、もう少しで授業も始まるから食事を続けてくれ。ここは皿やグラスの破片が散乱している。気を付けて歩く様に。』 俺の言葉に我に返ったのか、野次馬は席へと戻り食事を取り始めた。 例の親衛隊員は、他の親衛隊員に連れられて食堂を出ようとしていた。その顔は殆ど泣き顔で、しかし瞳は会長を向いている。 どうして、気付かないんだろうな。 それを最後まで見届けてから俺は生徒会親衛隊総隊長達や大上の方へと体を向けた。
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