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そこまで考えた所で溜め息を溢す。
分からないなら進むしかない。
…けど、そんなに簡単な事じゃない、と思う。
----そば、に………いて…
----…蒼流は消えないでしょ?
ふと浮かぶのは泣きそうに歪んだ、あいつらの顔。
………槙斗、三緒。
あいつらだけじゃない。
他の生徒会役員だって、きっと辛いのだろう。
だから簡単に、一緒にいるから頑張ろう、なんて言えやしない。
でも、それでも、もしそれをあいつらが望むなら俺はきっと傍にいるだろう。
なら、今は………。
一緒にいられるように準備しとくべきだ。
自意識過剰なのではなく、俺達は互いに依存している。
なのに、あいつらは常に孤独を感じている。
それは皆、あの時から。
………複雑だな。
強く、強く目をつぶった。
俺自身、それが何を意味しているかなんて分からない。
過去への懺悔なのか、未来への決意なのか、それとも-----
目を開いた時、見えた景色は何時もより心なしか輝いて見えた。
………案外この、学園という檻での生活も悪くないかも知れない。
転校生がスパイスとなって生徒会役員がまた前を向けるなら、それを見ているのも一興だ。
転校生を利用してみるのも良いかもしれない。
そんな自分の思考に苦笑した。
また、随分と歪んでしまったものだ。
自分の大切な友人の想い人を利用する、なんて。
何時からこんな事、考えるようになったのか。
まぁ、歪んだ思考を否定しようとは思わないが。
世の中そんなに甘くないから。
まとまった、とは言えないが頭の片隅に置いておけるぐらいには整頓した考えを忘れない様、大切に頭にしまった頃、槙斗が帰って来た。
チャラい会計を連れて。
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