第一談

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次々と椅子とりゲームのように学食の席は埋まっていく。だけど問題ない。俺には秘密兵器があるからな。 「……おや。晋平君、今日は遅かったですね」 わざとらしくアニメキャラの一人のようなセリフをかけてきたこの男こそ、俺の秘密兵器だ。 まぁ秘密兵器というのはだいぶ語弊があるがただの幼なじみの腐れ縁の川尻洋勝(かわしりようしょう)である。 四角いメガネをいつも光らせ、バッチリ決めた立てた黒髪が特徴的。全体的にスマートで黙っていれば顔とスタイルだけは悪い方には入らない。 二年になって階が上がり、学食に一番近い位置に存在している洋勝の1組普通科は当然席を取るのも早い。まぁ洋勝に限っては一年の時からなぜか早いんだけど。そんなこんなで俺の席はいつもこいつにキープしてもらってるって訳だ。 ついでに食事まで運んできてもらってるサービスつきである。 「うっさかねーちょっと出遅れたったん」 俺は不機嫌に洋勝を突っぱねて彼の用意していた席に乱暴に座る。
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