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剣道部では、部活が終わった後に、1年生が体育館のモップがけをする決まりがある。
自分の防具袋を置いた場所に戻り、素早く防具を外してモップを取りに行こうとすると
「杉浦」
と呼び止めたのは
「モップ、俺の分も取ってきてくれない?」
相楽だったり。
振り返ると、相楽は防具を取っている最中。
「自分で取りに行っ―」
「あ、なら私の分もね。」
言おうとしたことは橘・楓(たちばな・かえで)にかきけされてしまって。
楓とは、中学から知り合って、今では一番仲の良い友達。
そして、同じ剣道部。
ためらっていると、2人の視線が訴えてきて―。
はぁ…。とため息をつくと、体育館を出ていく自分。
結局、モップを2人の分も取りに行くことになった。
でも、その足取りは重くなくて。
だからといって、うきうきする程軽い足取りでもない。
一歩足を出すたびに、緊張してきて。
なぜなら、モップを含めた体育館用清掃道具を入れたある場所は、バスケ部がいる隣のコートだから。
ひんやりした、コンクリートの廊下を真っ直ぐ歩いて、体育館の左側の扉から、一礼して入る。
体育館の壁にそって端を歩く。
横では、バスケ部がストレッチをやっている。その中には勿論、綾瀬君もいて
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