苦手な人

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「モップ持ってきたよ~」 ため息混じりの言葉に 「ありがと。」 当然のことのようにモップを受けとる楓 私は、相楽の近くにいって 「はい、どうぞ」 モップを渡すだけだと思ったら 「――っ!!」 モップを持つ私の手に覆い被さる、相楽の手。 当然、そんなことは予想してなくて そんな私にお構いなしに 「どうした?」 と見上げる相楽は、平然とした顔でするりと私の手からモップを受けとった。 「な、なんでもない。」 相楽から、顔を背けて体育館のモップがけを始めた。 ****** 「はい、どうぞ」 ぶっきらぼうに言う杉浦の手にはモップが。 そのとき、不意にあることを思いついた相楽。 〈ちょっと、いじめてみるか。〉 試しに相楽は、杉浦の手に自分の手を重ねてみると 「―――っ!!」 杉浦は、驚いた顔をして頬や耳は、真っ赤。 その反応が面白くて、顔がほころびそうになるのを我慢して 「どうした?」 杉浦の顔を、見上げてモップを受け取った
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