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「な、なんでもない。」
杉浦は、顔を背けてモップがけを始めた。
そして、俺も同じようにモップがけをした。
杉浦の顔、すごく真っ赤だった。
横を向くと見える、杉浦の横顔は、今まだに赤くて。
(あいつ、予想以上に純情だな…。)
たった少しいじっただけなのに―
******
モップがけが終わって、部室に帰ると
「じゃあ、鍵よろしくね。」
私と楓が部室に帰ると、すでに着替えが終わっていた先輩と入れ違い。
「はい。お疲れさまでしたぁ」
「お疲れ。ばいばーい」
そそくさと、部室から出ていく先輩方、
やがて、最後の1人が出ていくと―
「はぁ、つかれたぁ~」
私と楓から、無意識にため息がこぼれる。
先輩たちは優しいし、仲良くしてくれるけど、まだ5月半ば。
入部してから、まだ1ヶ月も経ってない私たちには、なかなか馴染めなくて。
しかも、剣道部1年女子は、私と楓、他2人。
今日は、塾で来れないんだとか。
でも、男子は相楽1人だけ。
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