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「そういえばさぁ。」
口を開いた楓に、視線を向ける。
「海帆って、好きな人いるの?」
「えっ!?」
あまりの、唐突な質問に裏返った声。
その様子を見ていた楓は、口の端を上げて
「図星だ。」
の一言。
今更否定しても、もう無理と確信して、首を縦に振る。
そう言った途端、楓は、体を前のめりにして
「誰、誰!?」
と私に質問した。
「え、えーっと…」
楓とは仲良いし、信頼できるけど、だからって「はい、どうぞ」とは教えられないもので
体育着に着替え終わり、とりあえず床に座る
それに合わせて、楓が座るのを見終えると
「綾瀬君」
短く答えると、楓は目を丸くした。
「綾瀬君…なの。好きな人」
〈ドン、ガタッ〉
その時、隣の男子部室から大きな物音がした。
「なんだろ?」
壁を見つめる私に
「気にしない、気にしない。」
「う、うん。」
「で?」
「で??」
いきなりきた質問を、そのまま聞き返すと楓はため息をして
「綾瀬のことが好きなの?」
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