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キーンコーンカーンコーン
疲れがピークの6限目の終わりの合図
「起立」
「気をつけ、礼」
「ありがとうございま*#§*…。」
ダルさが伝わる挨拶。
最後は、何を言っているのかよく分からない。
でも、この瞬間から私の疲れは吹き飛んでしまう。
教科書らを机の中にサッとしまって、教室の掃除にとりかかる。
私は、杉浦・海帆(みほ)
中学1年
私は、この時間が好き―。
「駿~」
ビクッ!
ざわついているはずの廊下なのに、その名前は目立って聞こえて、私の鼓動を大きくさせる。
きっと私だから、目立って聞こえるんだ。
教室の後ろの扉から廊下に目を移すと、あの人の姿が見えた。
『綾瀬・駿』(あやせ・しゅん)
クラスは隣の4組。
3組の私は、ほとんど近づく機会がない
だから、違うクラスの綾瀬君に近づける、この時間が好き
私の掃除場所は、教室の後ろにある、連絡黒板。
前の黒板よりは、少し小さめ。
背の小さい私にとっては、背伸びをしても上まで届かない。
だから、ロッカーの上にのって掃除をする。
「ふぅー…。」
黒板に書かれた文字を黒板消しで消して一息。
雑巾、濡らしに行かないと。
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