小さな思い

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チョークの色がついたカラカラに乾いている雑巾を手に握ってロッカーから下りる。 トクン、トクン…。 流しに近づくたび、鼓動が速くなって邪魔をしてくる きっと 綾瀬君が… いるから。 綾瀬君の掃除場所は、流しと4組の廊下 3組の右となりは4組で、その先に流しがある 私は、綾瀬君から遠い蛇口で雑巾を濡らす。 横目から見える綾瀬君。 私より、高い背。 長くて細い、筋肉質の腕 真剣な眼差し。 一度見ると、吸い込まれて… 「すっぎうっらさんー!」 ビクッ! 突然、私の視界に横から入ってきたのは 大崎・海斗(かいと) 大崎の大とは正反対な低身長 146センチの私より、少し高いくらい 大崎君は、綾瀬君と同じクラスで同じ班。 だから、掃除場所も同じ ヤバッ! もしかして、綾瀬君見てたの見られたかな 蛇口から流れる水を止めて、雑巾を絞る。 よし、教室に戻ろう! ねじれた雑巾を片手に、回れ右をする 「こんにちは!」 ドキッ でも、綾瀬君が私の足を止める。
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