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綾瀬君が、挨拶してきてくれて
綾瀬君が私の前にいて
笑ってる
胸の鼓動がもっと速くなって
音が大きくなって…。
「こ、こんにち…は」
震えた小さな声で会釈
というか、ただうつむいただけ。
「おっ!駿と杉浦さん、最近仲よくね?」
綾瀬君の隣にいる大崎君
「ほとんど、俺の一方的だけどね。」
掃除しなきゃ。
うつむいた顔を戻し…
やっぱ無理!!
下を向いたまま、大崎君の横を通って教室へ戻る
はぁ……。
絶対、顔赤い
火照った頬に、熱を帯びた手
握っていた雑巾はもう、なま温かい
「うんっしょ…」
ロッカーの上にあがって、黒板を拭いた―。
******
掃除の時間が終わり、部活の時間がきた
昇降口を出て、部室へと足早に向かう
体育会系の部活の部室は、体育館の横に建っていて、2階建ての古いアパートのような風貌
サビついた鉄の階段を上って、
『女子剣道部』
とプレートがついたドアを引き、中へ入る
「こんにちは」
中に入ると、3畳くらいの小さい部室に5人の先輩
「こんにちは~」
このおっとりした声は、女子剣道部、部長
相原・春(はる)先輩3年
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