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《十三年前…レイナ・バロックゼレス 七歳》
幼いレイナが目を覚ますと、学者である父がいそいそと支度を始めていた。
父「レイナ…起こしてしまったかい?」
レイナ「お父様、どちらへいかれますの?」
レイナが七歳とは思えない丁寧な言葉遣いをしたので、父親はビックリして支度を手伝っていたメイドと妻の顔を伺った。
メイド「旦那様、レイナお嬢様は本当に賢いですわ」
母「私が、電話で話をしているのを聞いて、そんなに教えてないのに、どんどん言葉を覚えていくのよ…貴男に似て、賢いわ」
それを聞いた父親は、顔を横に振った。
父「賢いのは、君の方だ!!歌姫と呼ばれ、数々の楽曲をミリオンセラーにしてきたのだから、頭の堅い僕から言わせれば君こそ天才だよ」
メイドは、レイナの頭を撫でながら二人がイチャついているのを見ていた。
メイド「レイナお嬢様は、世界一幸せですよ。素敵な両親、何不自由ない暮し、それに、大人になったら絶対に素敵なレディになるであろう、顔立ち。後は、優しい心と正しい考え方をゆっくり…身につけていきましょうね」
幼いレイナには、メイドの言っている事が半分も分からなかった。しかし、自分が暖かな家庭の中で誰よりも幸せである事は、なんとなく分かった。
レイナの父『ジョン・バロックゼレス』は、生物学者である。今回、彼は未知の生物を発見した為、調べてほしいという軍の依頼を受けた。
しかし、彼は複雑な心境だった。世界中の生物を愛する彼にとって、最も畏怖するべき出来事『戦争』それが元で、時空が裂ける現象が発生した。
核ミサイル同士の衝突によって発生した時空の裂け目。それが、ディージョンである。
生命体は、ディージョンの中から現われたのではないかと言われていた。新生命体には興味があるが…生命のまったくない、死の大地と化した場所に行くのは、気が進まなかった。
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