二食…追憶

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額にナイフの突き刺さったジョンは、しばらく天を仰いだ。しかし…何事もなかったようにナイフを抜き取って、路上へ投げ捨てた。 ジュディは、レイナを抱えたまま逃走した。 レイナ「あれは…お父様じゃないの!?お母様は…お母様は!?」 走りながら、ジュディはレイナに説明を始めた。 ジュディ「奥様は…お亡くなりになられました。お嬢様、よく聞いて下さい。旦那様が消息不明になってから、数か月後…行方不明になっていた研究員が発見されました。しかし…その研究員は『得体の知れない何か』に寄生されていました。それは『パライーター』と呼ばれています。被害は、この2年間で数十件ほどです…奥様も、私も旦那様は無事に帰ってくると信じていました。だから、お嬢様を不安にさせたくなかったので、伏せていたのです…しかし、旦那様はパライーターに寄生されていた…私がついていながら、こんな事になるとは!」 悔しさから、唇を噛み締めるジュディ。細い路地に逃げ込んだ所で、ジュディは隠し持っていた拳銃を取り出した。 ジュディ「実は私、元軍人なんですよ。つまり…メイド兼ボディーガードって所です。これだけ騒ぎが大きければ、対パライーター特殊機関がすぐに動きだすハズ…それまでは、命に代えても私がお嬢様を守ります」 不安そうなレイナの頭を、優しく撫でるジュディ。 ジュディ「心配ですか?私…こう見えても、力持ちですよ?」 無理に笑ってみせる。ジュディは、不安を隠しながら銃を見つめる。 ジュディ(アメリカ軍にいた時に使っていた『ソーコム改』…これさえあれば、どんな困難も乗り越えられると信じていたけど…はたして、あの化物に通用するかどうか…) ザッザッザッ… 二人が逃げ込んだ路地に、ジョンが現われた。一瞬、優しかったジョンの笑顔が脳裏をかすめたが…守る者がいるジュディは、迷わず引き金を引いた。 ガァン!! ガン、ガン、ガァン!!! ジョンの首から上が、吹き飛んだ。 二食…追憶…END
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