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享「逃がすか!」
卯月は、弾丸を躱しながら投縄の開けた穴に逃げ込んだ。
享「くそ…追いかけるだけ無駄か?レイナさん、大丈夫ですか!?」
レイナに絡み付いた蜘蛛の糸を除去し、捕まっていた人達を出口への誘導を開始する。
享「皆さん、もう大丈夫です!ゆっくり外へ出てください」
衰弱した老人や子供に気をつかいながら、優しく丁寧に誘導する享。
梅原「さすが、享!手際がいいなぁ~うん」
ごまかすように、享を誉める梅原をレイナは白い目で見ていた。
フェル「よう、享。さっき、お前達をさらったパライーターは…倒したのか?」
享「えぇ…大して強くない奴でしたよ」
フェル(…大した事は無い?一瞬しか見えなかったが、あれはB級以上のパライーターだった。梅原は気絶していたのだから…享が一人でパライーターを倒し、人間達を解放したのか!?それに…匂いが変わったような気がする…パライーターに、似た匂いが…)
いつもと変わらない様子の享。それを見つめるフェルの胸に、不安がよぎった。
舞から、外で待機していた隊員が別部隊編成し、パライーターを追い掛けているという情報を入手した。いやがる梅原を車に乗せ、三人と一匹は合流する為に移動を開始した。
レイナ「なぁ、享。さっきはありがとうな。気味悪い糸をとってくれて」
享「すぐに、追いかけるべきだったかもしれませんが…心配だったので…」
レイナ(本当、優しいな。やっぱ『ハルバード』に似てる…)
レイナは、享の肩を枕にして寝たふりをした。
享「…レイナさん?寝てる…疲れてるみたいですね」
梅原・フェル(んな訳…ねぇだろ!!)
…と、叫びたい気持ちを押さえ、梅原は運転を続ける。
しばらく運転すると、無線が入った。
無線〔こちら、パライーター追撃部隊!誰か応答してくれ!!〕
梅原「こちら、Cグループどうした?」
無線〔蜘蛛型パライーターを追いかけていたら…黒いパライーター…きっと、こいつが噂の『レイヴン』…ギィヤァァァァ!!〕
梅原「おい、どうした!?応答しろ!‥くそ、途絶えた!舞、無線の最終通信地点はどこだ?」
梅原から通信を受けた舞は、すぐに調べだす。
舞〔E‐504地点です!〕
フェル「新手か?」
梅原「次から次へと…まったく、一息吐く暇もないぜ!!」
梅原は、サイレンを鳴らしアクセル全開で現場に急行した。
十六燭…深紅…END
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