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《サラ&ジンギ》
薄暗いバーで、二人は淡い色のカクテルで乾杯をする。
ジンギ「洒落たバーだな。熱帯魚までいるのか?」
サラ「あれは、立体映像よ。今の海に…あんな綺麗な魚はいないわ」
立体映像の熱帯魚達は、まるで命を持っているかのように優雅に泳いでいる。
ジンギ「しっかし、レイナは俺に振り向く気配がねぇなぁ…あいつ、目が腐ってんのかね?」
サラ「あんた、全然あの娘の事…わかってないでしょ?あんたみたいな力押しで『俺についてこい!』ってタイプは…好きじゃないのよ」
カクテルを飲み干し、ジンギはサラを見た。
ジンギ「だったら…そうなれば良いだけだろ!?」
少しだけカクテルを口に含み、サラが答える。
サラ「自分殺してまで、女に合わせる男なんて…私に言わせれば魅力の欠片もないけどね♪」
ジンギは、何も言えなくなった。
サラ「レイナの、どこが好き?」
ジンギ「顔!…スタイルも良いな!後は…目かな?良く見ると…悲しそうな目してるよな。俺が、なんとかしなきゃ!って、思うんだ!」
サラは、煙草に火をつけた。
サラ「私と、どこが違う?」
じっと、ジンギの目を見つめるサラ。ジンギは、おもわず目をそらす。
ジンギ「からかってるのか?サラには、藤木博士が…」
ぐっ…
サラの唇が、ジンギの口を塞いだ。ゆっくりと、その感触が離れていく。
サラ「ただ、お食事しただけよ?」
頭が、真っ白になるジンギ。餌を貰いたがってる鯉のように、口をパクパクさせている。
サラ「…効果的な、口封じでしょ?」
ジンギ「まぁ…な。でも、ある意味…らしくねぇよな。サラ…怯えてるだろ?唇、震えてたぜ」
サラ「…分かるんだ…」
ジンギ「まぁ、正直…俺はビビッてるけどな!あの、ハルバードと戦う事になって…しかも、あと三ヵ月で…」
キッ!
それ以上、言うな!と言わんばかりにサラがジンギを睨み付ける。
ジンギ「あ…すまねぇ…」
サラは、ゆっくり席を立った。
ジンギ「帰るのか?」
サラ「えぇ…行きましょう」
どっこら、しょ!っと席を立つジンギに、またしてもサラは不意打ちのキスをした。
ジンギ「!?」
サラ「ねぇ…独りで寝たくない夜って…あるでしょ?」
…夜は、更けていく…
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