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《レイナ》
お世辞でも、綺麗とは言えないバーのカウンターで酒を飲む。
寂しい癖に、寂しいと言えない。
弱い自分を、見せる訳にはいかない。
何故?
プライドか…そういう性格なのか…
自分独りで背負い込む…他人に言った所で、何かが変わる訳でもない。
酒が進む。
また…殺さなければならない。
また…好きだった人を…
ジュディの事を思い出し、懐からソーコム改を取出し、見つめる…
ねぇ、ジュディ…あなたなら…どうする?
甘えてしまえば、少しは楽になりそうだけど…そんな相手もいない。十八歳の頃、目が覚めたら名前も知らない男とベッドの上にいた事もあったが…今更、それをやるつもりは無い。
次々と、自分の周りから人がいなくなる。挙げ句の果てにジュディのように、ハルバードまで殺さなければならないのか…しかし、それは間接的だがジュディの仇打ちでもある。
それでも…人間だった頃のハルバードを思い出す度に攻撃は甘くなっていた。
レイナ「なんか、面倒くせぇなぁ…」
ポン
誰かが、レイナの肩に手を置いた。
振り向くと…
酔っ払い「なぁ~姉ちゃん。一緒に飲もうぜぇ~♪」
ドスッ!
酔っ払い「もっばげぇ!?」
酔っ払いの腹を蹴りあげる。一応、手加減はした…つもりである。
レイナ「キッタねぇ手で、触ってんじゃねぇぞ?」
ザワザワ…
周囲が騒ぎ始めた。
酔っ払いの仲間「てめぇ、よくもジョニーを!!」
レイナ「ジョニー?どう見ても、日本人のようだけど…」
酔っ払いの仲間「うるせぇ!!テメェ等、やっちまえ!!!!!」
男の号令で、店内の客達が一斉に構えた。
レイナ「全員かよ…普通、女一人にやるか?」
酔っ払いの仲間「ひっひっひっ…全員で○×△てるぜ!!」
五分後…
店内で、独り酒を飲むレイナ。気絶した男共に囲まれながら…
ビィー・ビィー!!
携帯電話(パライーター探知機)が、黄色い光を放ちながら警告音を鳴らす。
レイナ「やれやれ…どこまで縁があるんだろうなぁ…」
怯えているバーのマスターに金を渡し、店を飛び出すレイナ。
バーのマスター「なんなんだ!?あの女…まるで…化物じゃないか!?」
…夜は、更けていく…
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