八色…悲鳴

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《ライブハウス SICKS》 バン!! ドアが開いた。そこには、ギターケースを背負ったメイド姿の少女がいた。 金髪の男「遅ぇよ!マリー!!開演五分前だぞ!ってか…その格好で来たのか!?」 エレキギターをかき鳴らしながら、男は怒鳴った。 マリー「ごめんあそばせ~☆道が混んでてさぁ~」 言い訳をするマリーを、バンドのメンバー全員が睨んだ。 マリー「あはは…ほら、ぼちぼち開演じゃん?初の単独ライブ!最高に盛り上げていこー♪」 無邪気な笑顔が、メンバー全員の怒りの炎を鎮火した。黒髪のショートヘア、透き通るような白い肌。少しハスキーな声…このバンドのボーカルを務める『マリー』と呼ばれる少女には、不思議な魅力が溢れていた。年齢十七歳。身長158㎝。ビジュアルも中々のものである。彼女の加入以来、無名のインディーズ・バンドであった『キルア・メリー』の人気は、鰻登りだった。 ドラムっぽいハゲ「まぁ、遅刻はいつもの事だからな…さぁ、派手にやろうぜ!」 部屋から出ていくマリー達。…一匹の猫が、部屋の隅で鳴いた。その背中には、カラスのような黒い翼が生えていた。 猫?「ふぅ~まだ、こんな遊びをしたがる所は…人間らしいわね~」 猫のような生物は、小さくため息を吐いた。 ――――――――――――――― 《秋葉原の喫茶店》 メイド「いらっしゃいませ~♪この…ゴキブリ野郎が!!」 絶句するレイナとフェル。 レイナ「何事?」 舞「ここは、一昔前に一世を風靡した《ツンデレ喫茶》をさらに強化した《女王様系メイド喫茶・バリゾッコン》です。マニアに大ウケらしいですよ?」 レイナ「罵詈雑言と、かけてるのか…ファンタスティックな文化だぜ…」 舞は、クイっと眼鏡を動かした。 舞「さらに強烈な《メイドによる冥土の土産喫茶》というのも、あります」 フェル「とりあえず…さっきの奴が着ていた服とはデザインが違う事だし、出ようぜ。ここ、恐ぇよ!」 外に出るレイナ達。『パライーター殺し』のメイドを捜し出すのは、かなり骨が折れそうだ… 舞「電気街で、チラシ配ってる人達もたまにメイド服着てる事があります。向こうも調査しましょう」 レイナ「ずいぶん…詳しいんだな、舞」 フェルを抱っこしながら、楽しそうに歩く舞。 舞「私の住んでるマンション、ここからかなり近いですから。庭みたいな物です」 レイナ達は、電気街へ入って行った。
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