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座席につけば…機長がバリアを発動させるだろう。しかし!
ニョキィイィ!!
パライーターの腕が伸び、レイナの足を掴む。レイナは…覚悟を決めた。
レイナ「空中遊泳と行こうか?ダーリン♪」
触手がパライーターの身体に絡み付いた。当然、機内の壁に打ち付けていた物である。
グィイイィィィィ!!
自ら、パライーターもろともホール・アウトしたレイナ。普通、高度1万3000mの上空に放り出された人間は、その瞬間に気圧の急激な変化やらなにやらで死んでしまうだろう。しかし…レイナの身を覆う『狂甲・悪食』が、そうならないように守っていた。
レイナ共々、上空に投げ出される形となったパライーターは…ニヤリと笑う。
バサァ!
翼が生えた。レイナの触手を振りほどこうと、空中で暴れ回る。
レイナ「ってか、マジ萎える…飛べんのかよ!」
思わず苦笑してしまったレイナは、触手を限界(最高10m程度)まで伸ばしてパライーターの翼を貫いた!!
パライーター「!?」
レイナ「さぁて…逝かせてやるよ、悦べ!!」
パライーターもろとも、落ちていくレイナ。触手でガッチリ、パライーターを縛り付けた。
パライーター「オマエ…死ガ、オソロシクナイノカ!?クルッテイル!!」
ズドォオォン!
落下地点は、都心から離れた森の中であった。木々を薙ぎ倒し、レイナはパライーター共々地表に激突した。そして、地面に大きな穴があいた。その穴の中心には…粉々に砕け散り、辛うじて顔だけ残ったパライーターと、何事もなかったかのようにたたずむレイナがいた。
パライーター「普通、死ヌダロ?…キサマハ…不死身カ!?」
その言葉を聞き、レイナは口元を緩めて笑った。
レイナ「不死身じゃない。ただし…『限定不死』だ。私は『高い所から落ちても死なない』身体なのさ。…って、もう聞こえちゃいね~か?」
すでに息絶えたパライーターの亡骸に、レイナの触手が伸びていく。
レイナ「ほとんど、食うところはないが…『狂甲・悪食』食い尽くせ」
触手は、意志を持ったようにパライーターの残骸に突き刺さり、それを食らった…ふと、空を見上げるレイナ。青い空に、白い線が引かれている。
レイナ「飛行機雲か…はぁ…また、飛行機乗らなきゃいけないのかよ。そこまでして、行かなきゃいけないのか…日本に」
レイナは、ため息を吐いた。そして、都心からかなり離れた森の中を歩きだした。
一食…高空…END
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