二食…追憶

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軍用機に乗り込み、ディージョン発生ポイントに到着。放射能汚染から身を守る為の、特殊なスーツを着る。 ジョン「死の大地か…何も、こんな所に研究施設を建てなくても…」 研究施設に入ると、巨大な試験管の中に蛹(さなぎ)のような生物が入れられていた。 研究員「ジョン博士。どうですか?この生命体…博士の所感をお聞かせ下さい」 急に聞かれた為、ジョンはしばらく沈黙した。 ジョン「まずは、体組織を調べてみないと…私の見たところ、まるで蛹のような風貌からいって…これから幼虫になって、成虫になる…なんて、想像は容易にできますが…」 ピシ… 巨大な試験管から、誰にも聞こえないような小さな音がなった。ヒビが入ったのだ。 ――――――――――――――― それから数日後… ジョン・バロックゼレスの妻、リィナに報せが入った。…研究所から、ジョンを含む全研究員、および軍人達が消え…消息不明となったという内容であった。 リィナは、強い女性だった。絶望を乗り越え、職場復帰。アーティストとして再始動した。 二年の月日が流れた…リィナもレイナも必ずジョンが帰ってくると信じていた。 レイナの世話係である、メイドのジュディは、ときどきジョンの書斎を寂しそうに見つめるレイナをいつも気遣っていた。そして、頭を優しく撫でながら言う。 ジュディ「そんな寂しそうな顔をしていては、あのドアを開けて奥様が帰ってきた時、心配なさいますよ?お嬢様は、奥様より強い心を持ってます。だって、奥様の前では旦那様の話もしないですものね…でも、もしも本当に寂しくて、悲しくいなら…私の前では、泣いてもかまいませんよ?」 レイナは、ジュディの前でだけはメチャクチャに泣いた。レイナにとって、ジュディは姉のような存在になっていた。 ある晩、久しぶりにリィナとジュディの三人で食事に出掛ける事になった。その日は…レイナの九歳の誕生日であった。
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