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享をくわえたまま、建物から建物へ飛び移る虎型パライーター。ほどよく人気がなさそうな、廃墟ビルに飛び込んだ。
虎型「グルルルルルルル…ガァァァァァァァ!!」
ヨダレを垂れ流しながら、大きな口を開く。
ぐじゃあ!
ぐしゃぐしゃぐしゃぐじゃ!!
ザクッ…
血が、地面に広がる…
……
享「う…」
享は、生きていた。ぼんやりした視界には女性のシルエットが映し出された。
享(…レイナ、さん?)
レイナではなかった。血塗れの大きな包丁のような剣を持った、変わったセーラ服を着た…仮面の女が享を見つめている。
マリー「あら、人がいたんだ?気付かなかったわ♪」
仮面をはずすと、まだあどけなさの残る少女の顔が現われた。マリーである。マリーは、ヘィルの探知したパライーター反応を追って偶然、享を助ける形となった。
享「君は…レイナさんが、本部に捜すように指示を出していた…限定不死か?」
マリー「あの、最高にウザイ女の仲間?あぁ~偶然とは言え…こんなの助けちゃうなんて、不覚だわ~」
マリーは、仮面をつけなおして立ち去ろうとした。(兄・桐人に、せめて顔を隠すように!と、渡された。ちなみに、監視カメラ付き)
享「待ってくれ!!」
マリーを呼び止める。享は考えていた。
享(もしかしたら…フェル以外の悪魔なら、僕を限定不死にしてくれるのでは!?)
享が持つ、力への執着心は…消えていなかった。
むしろ、結局はあっけなく命を落とす瞬間であったのだ。力がなければ…この世界では、名誉の死を遂げるだけ…その考えが、享の心を縛り付けた。
マリー「何よ?言っとくけど、ゲイボルグには入らないわよ!?」
享「君に力を与えた悪魔に、会わせてくれないか?僕は…力が欲しいんだ!」
ヘィル「私なら、ここにいるわよ」
物陰から、カラスの羽を生やした猫が現われた。
ブブブブブブブブ…
マリーの携帯に、電話がかかってきた。
マリー「どうしたの、お兄様?」
電話は、桐人からであった。
桐人「マリー。仮面のカメラから、事情は大体わかった…彼を連れてきてくれ」
少々、腑に落ちないといった表情を浮かべながら、マリーは享に言う。
マリー「妙な真似をしたら…殺すからね☆」
顔は笑っていたが…マリーの目は、笑ってはいなかった。
十四植…嫉妬…END
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