十五植…芽吹

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《都内》 無線「Cグループ隊員、海老原 享がパライーターに連れ去られた。各班、手分けして捜索を…」 レイナ「クソ!!パライーター反応は突然消えちまうし…どこいっちまったんだよ!」 レイナは、パトカーのボンネットに思いっきり拳を振り下ろした。 梅原「…俺がうかつだった…完全な判断ミスだ」 フェル「畜生…俺がついていながら…」 舞「とにかく、この周囲を捜しましょう!」 三人と一匹は、必死に享を捜した。そして…三時間後… 無線「Cグループ隊員 海老原 享を発見しました!」 梅原は、急いで無線に応答する。 梅原「こちら、Cグループ隊長、梅原!!享は無事か!?」 無線「命に別状はありません。パライーターにも、寄生されておりません…が、貧血を起こしておりましたので、病院に輸送しました。」 三人と一匹は、ホッと息を吐いた。そして、すぐに病院へと向かった。 ―――――――――――――― 《病室》 ドアを開けると、点滴を打っている享の姿があった。 享「あ…隊長!みんな!」 梅原「良かった…生きててくれて…本当に…俺がしっかり指示を出していれば、こんな危険な目には…すまん!!」 急に梅原が泣きだした為、享は慌てふためいた。 享「いや、隊長が謝る必要なんて無いですよ!?僕が未熟だったんですから…」 舞は、元気そうな享を見てホッとすると同時に、疑問を抱いていた事について問い掛けた。 舞「しかし…よく無事でしたね。一体、何があったんですか?」 享「それが…あの人…マリーという、限定不死に助けられたんです」 レイナ・舞「!!」 マリー…切る、刺すといった攻撃では決して死ぬ事のない限定不死。レイナと舞はかなり驚いた。以前会った時は…とても、人を助けるような人間ではなかったからである。 梅原「何にせよ、無事で良かった。なんか食いたいものとか、飲みたいものはあるか?なんでも買ってきてやるぞ!!」 妙に優しい梅原に、苦笑いの享。 享「じゃあ…コーヒーご馳走になってもいいですか?」 フェル「よし!買いに行こうぜ!梅原、舞っちんぐ」 急に喋りだしたフェル。二人と一匹は、病室から出ていった。部屋には、さっきから一言も喋らないレイナと享の二人きりになった。 ふと、見ると…壁にもたれかかっているレイナの目は、涙が溢れそうに潤んでいた。
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