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沈黙…
先に口を開いたのは、享の方だった。
享「あ…結構、心配してくれてました?」
笑いながら言う享を、レイナは涙ぐみながら睨み付けた。
レイナ「あたりまえだろ!!」
今にも、涙が零れそうだ。享はレイナが自分の事を、こんなに心配してるとは思っていなかった。
享「えぇ~と…意外と、仲間思いなんですね」
レイナ「なんだよ!意外にって…どんなキャラだと思ってんだよ」
享「…いろんな所で、仕事してるから…こういうの、慣れてるのかなって…」
レイナ「慣れる訳ねぇだろ?人が…死んじまう悲しみに、慣れなんかねぇよ…」
分からなくなっていた。レイナの方が、よっぽど白いんじゃないか!?享は思わず聞いてしまった。
享「レイナさんみたいな人が…なんで限定不死に?悪魔に見初められたんですか?レイナさんの方が…僕より、よっぽど白い感じがします」
レイナ「…憎しみだよ。小さい頃…大切な人間を、次々とパライーターに奪われた。私は、呪っているのさ…パライーターを!自分の運命を!なんで、私だけ!!ってな…白くなんてないよ…」
涙を拭って笑うレイナを見て…享は妙な気分になった。
享「…もう、心配いりませんから…泣き顔とか、似合わないですしね」
まだ、二十歳のレイナが抱えている物の重さは、享には想像もつかなかった。享は、手にしていた『バックル』を強く握り締めた。
享(情けないな…こんなに心配されて…でも!この『力』があれば…)
ガチャ…
梅原「おう!飲み物買ってきたぞ~」
レイナ「あ、私はコレ貰うぜ!」
梅原「あ゛それ、俺のだ!!」
もう、そこにはいつものレイナと、いつものCグループの姿があった。
レイナ達が帰った後、享は手にしていた『有刺鉄線が絡み合ったバックル』を取り出して、見つめていた。
享(やれる…きっと、僕にも!)
バックルの有刺鉄線が、享の手に刺さる…そして…血を吸っていった。
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