初夏

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「じゃあさ、プールとかは!?」 むー、と夏が小さい頭で必死に捻りだし、どや顔で提案した。 「まあ定番だな」 「プールか~」 折角必死に出した提案を、雨京と遥に微妙な返答をされたので、夏が若干いじけてしまったように見える。 「プ、プールもいいよな!近くに水上公園もあるし、な!夏?」 「ふんっ、プールなんか別に行きたくないし!プール行くなら海行くし!!」 折角助け船を出してやったのに逆ギレをされてしまった。何か俺のせいみたいになってんじゃん…… 「ねえねえ、今年はなっちの神社で夏祭りやらないの?」 「あー!忘れてた、ちよりんナイス!今年もやるよ!去年よりすっごいの!!」 女子の間ではそれぞれあだ名で呼びあっている。夏(なっち)、遥(ハル)、凛(ちよりん)という具合である。そんな間抜けな名前で呼ばれて恥ずかしくないのだろうか…… ふてくされていた夏はいつの間に復活していた。 夏の家は神社で、なかなか昔からある由緒正しい家柄なのだ。 夏休みになるとそこの神社の境内で祭りが行われる。その祭りのメインイベントは、神社の娘が巫女姿で神様に奉納する踊りである。つまり"なっち"が巫女姿で踊るのである。 夏に天災や災害が起こらず、穏やかに過ごせるように踊りを捧げるのだ。 凛に言われるまで忘れているなんて、こいつバカだ…… なにがプールだ!それよりこっちの方が重要だろ!助け船だして損したわ! 身長同様、頭の中も小学生なのかもしれない。
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