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月明かりに照らされた路地裏。そんな場所で女性が一人、歩いていた。
年齢は20代後半といったところだろうか、黒いスーツに身を包み、長い髪を後ろで一つに束ね、右手にはアタッシュケースを持っている。
「もう、こんな時間か」
腕に着けていた時計を見て女性はそう呟く。
ザッ
その時、後ろから何かの音がし女性は反射的に振り替える。が、振り返った先にはなにも居らず、ただ薄暗い道が続いているだけだった。
「気のせいか……」
女性は胸を撫で下ろし、また歩き出そうとする。
「―――っ!!」
しかし、前を向いた瞬間、女性は声にならない悲鳴を上げた。
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