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「なんでも……近々、我が校に見目麗しい、
才に溢れた深層の令嬢が入学してくるらしい。
つまりは、俺様の計画はこうだ……」
と、話があったのが、
奏たちが入学してくる2週間前のことだ。
国営放送だけでなく、民放までもが特番を組み、
その美麗で清澄な、彼女の鍵盤遊技を茶の間に
届けるコトに吝(やぶさ)かでなかった時期。
学校行事的な流れで言えば、卒業式もおわり、
学年末試験の答案用紙からも解放され、
ノウノウと安穏たる日々を貪っていた、
学生生活においては、空白にも似た時間。
クラスの男子と腕相撲に興じ、
もうすぐサバイバルモードを攻略できる
愉悦を感じ出した最後の一戦を前に、
校内放送を乱用され、
ボクは生徒会室へと呼び出された。
渋々でなかったのは、ボク自身も、
このピアニストを勧誘することには大賛成だったからだ。
と、いうか……認めたくはないが、
超★重装部の根源的な活動である。
音楽活動自体は、その……まぁなんだ、
ボクが兄貴に頼んで、懇願して……
つまりはワガママを……だな、
お、おねだりして……叶えてもらったんだ。
そ、それは嘘ではない。
人は罪を認め、己の矮小さを知り、
成長しなければならないモノなのだ。
うん、そう に決まってる……。
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