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朝、起きると目の前には見知らぬ少女がちょこんと座っていた。
そして、その少女は起きた少年に気が付くと表情を変えぬまま
「目玉をくりぬかれるのと私についてくるのどっちがいい?」
と言った。
少女は青い瞳と狐のような耳を持っていてハイビスカスの様に大きく開いた形のシンプルなワンピースを身に着けていた。
「えっ?」
まだ、寝ぼけている頭で少女の言ったことを考える。
目玉を・・・くり・・
そこまで考えたところで少女はまた小さな口を開けた
「だから・・・、エカは私に目玉をくりぬかれたいの?それとも私についてくる?」
と言った。
少女がいることに驚いたが、それよりも目玉をくりぬかれるのは少年にとっては迷惑な話だ。それにまだ眠い。
「そこから、下りてくれる?それと・・・目玉はくりぬかないでくれるかい?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
明らかに残念そうな顔をした少女は頷くと少年のベッドの上からおりた。
そして、そのまま少年の手首をつかむと思いっ切り引っ張った。
「!?ちょっと」
いきなり引っ張られたせいでバランスを崩し大きな音を立てて、少年は落ちた。
しかしそれで、しっかりと目が覚めたのか少年は大きな声を出した。
少女がピクリと止まり少年を見た。
「いったぁ・・・」
「何?」
少年が落ちたことには目もくれず蚊が話すような声で少女が言った。
「何・・・じゃないよ君は・・・だれ? 夢じゃあ無いよな・・痛いし」
少年が頭を押さえながら言う。
「私?わたしはミレンダのお友達よ・・・」
少女は言う。
「じゃあ、エカっていうのが君の名前?」
そう聞きながら、少年は静かに少女に掴まれた手をほどこうとした。
しかし少女の力は思っていたより何倍も強くほどくことはできなかった。
「エカ?・・・私はエカじゃないわエカは貴方の名前でしょう」
エカという名前では無いという少女は少年を見据えてそういった。
しかし少年の名もエカなどという名前ではない。
ただ、エカには聞き覚えがあった。
「僕はエカじゃないよキッと間違えてる。僕の名前は功さ」
功は笑いながらそういった。
だが、少年の名前に少女はあまり興味が無いようで適当に相槌を打つと、さっきよりも強く手をつかんだ。
「じゃあ功、ついてきてね」
その言葉とともに少女は消えた。
功という少年も消えた。
そう、消えたのだ人間の世界から・・・・・・。
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