プロローグ

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久々に外に出たら、流れ星が見えた。 ついありもしない願いを言いそうになった。 流れ星に願い事を言うとき、わざわざ「星に願いを言ったところで願いが叶うのか?非現実的ではないか?」と考えるやつはいない。 みんな、流れ星を宗教のように盲信しているわけじゃない。なんだか夢があるから、願い事を言う、というだけなのだ。 ホントに叶うわけじゃない。 そんなのみんなわかっている。 なら、ホントに叶った場合、どうなるのだろうか。 果たして願い事が叶って万々歳なのか? ラッキーやったぜひゃっほうと喜んでいいのか?喜べるのか? 性格だろうか。職業柄だろうか。 殺し屋なんて信用もできない輩を雇わねばならん職業柄だろうか。いや、そうだろう。 常にうまい話はたとえおとぎ話であろうが疑ってかかってしまう。 我ながら嫌な人間になったものだ。 サンタがやってくるのが待ち遠しかった頃が懐かしい。 今はサンタなんかより大金入りトランク担いだおっさんどもが来る方が待ち遠しいな。 だが仮に俺が真人間だったとしても、別に裏がなくとも、なんだか素直に喜べない気がしてしまう。 ま、根拠はないんだけどな。 明日も早い。余計な考え事はここらにして、ぼちぼち寝るとしよう。 ああサンタよ。いるなら大金おいてけ。 無茶なプレゼント求めてくるやつ殺してやるぞ。 サンタがもし来たら説教されるな、こんな願い。 そんなことを考えながら、俺は眠りについた。
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