第一章・殺し屋

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-2- 死んだ。 首から大量の血を流し、標的は死んだ。 それを確認してから、俺は電話を取り出した 「もしもし、処理よろしく」 会話はそれだけ。「ヤツラ」は、それだけで、もろもろの処理をしてくれる。もちろん金は盗られるが。 そしてもうひとりに電話をかけた。 「もしもし」 『おお、雛か。どうだった?』 「無事おわりました」 『はいはい、じゃあ撤収してくれ。』 雛、なんて呼ばれているが俺は男だ。確かに幼顔ではあるが、男だ。 あらためて言わなくてもわかるだろうが、俺は、殺し屋だ。 殺し屋なのだ。 仕事をしている。 世の中には快楽のために人を殺す殺し屋が多いが、俺はそれとは違う。 俺はサラリーマンみたいなもんだ。別に楽しいとは思ってないが、苦だとも思ってない。 仕事は仕事、生きるためにやることだと思って殺っている。 快楽殺人を否定するわけじゃないけどな。いってしまえば、そいつらは「楽しい」を仕事にできてるわけだから、それはそれで良いことだとは思うけどな。 返り血を浴びた服をその場で脱いで燃やし、新しい服に着替え、事務所に報告に戻る 真夜中、深夜2時。 普通はこんな時間、歩いてたら下手したら不審者扱いされるが、俺はなにより顔が「いい人の顔」らしいし、まだまだガキだ。 18歳だ 「こら、こんな時間に何をやってる?」 警察官が話しかけてきた。 「ちょっとコンビニに寄ろうと思って。」 こういう時の常套句。 「近頃物騒だからね、気を付けなよ」 「はーい、ありがとうございます」 彼らは、「犯罪者」がうろついていないか探しているらしい そして、どうやら、俺はその犯罪者、とやららしい。 だが普通に警察官と話しても全く問題がない。 彼らの前では動揺すると怪しまれるらしいが、なぜ動揺するのか。 普通にしておけばいいのに。 俺を雛、と呼んでいた俺の雇い主は気を付けろ、と言われたが、なにも気をつけていない むしろその警察官から気を付けろと言われるぐらいだからな。 そんなことを考えてる間に事務所についた 。 いたって、「いつも通り」だ。
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