入学式

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  だが倒れた男子生徒は、 「ちょ、不意撃ちはやめてくださいよ」 と、平然とした顔で言って退けた。 カナメ「いえ、お嬢様のお言葉に耳を貸さない無能がいらっしゃいますね、と思いまして、そちらへ発砲しましたところ貴方様がいらっしゃいましたので」 「ふーん………で、こいつら何なんすか?集団ドM?」 あっけらかんとした態度で俺たちを見ているそいつ。見覚えがないことから、上級生と推測。 カナメ「なるほど、中々馬鹿なことを申されますね、勇哉様。それはそうと、既に入学式終わりましたよ?弟様と共にお帰りになるご予定では無かったのですか?」 ユウヤ「え、もう終わったの!?いっけね、あいつに怒られちまわぁ」 学生鞄を持って立ち上がった怪物は、燕尾服に手を挙げた。 ユウヤ「本日は失礼します副会長。また明日!」 カナメ「はい、また明日でございますよ、勇哉様」 燕尾服は腰を九十度に曲げて勇哉と呼ばれた人物に頭を下げる。 「副会長ー、私も帰っていーい?」 ここで初めて声を出した白髪の少女。 カナメ「私の言葉を聞いていなかったのですか?耳が悪いんですねぇ。それとも痴呆でございますか?」 最後まで言い切る前に立ち上がった少女は、自らと同じ背丈の縫いぐるみを背に乗せて言った。 「私は馬鹿だからよくわからないですっ」 えっへん、とでも言いそうなその姿は、正しく滑稽だ。 カナメ「慎ましやかな胸をお張りなさっているとは、相当にございますね。どうぞお帰りくださいますよぅ。貴女様が楽しむものもありませぬ故」 副会長はそう言うと、少女は帽子を被ってこう言った。 「わかったー。バイバイちゃん」 カナメ「バイバイちゃん、でございます、クララ様」 出口でもう一度大きく手を振るクララと呼ばれる人物に、にっこりと笑みを浮かべる副会長。 ユウ「---僕も退散します」 カナメ「はい、戦える時を楽しみにしております、悠様」 僕は身を翻し、体育館を去った。 --------
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