入学式

10/14
前へ
/14ページ
次へ
  たぶん生徒会長だろう、その人は口を開けた。 『初めまして、新入生の皆さん。そして』 目がぎらついた。何かを仕掛けてくる。 『跪きなさい、この豚共』 ぐしゃり、という音が周囲から響く。原因はあのアマだ。 「………っは」 『その卑しい口を閉じなさい』 ガチン、と言う音が自分、そして他の奴らから鳴った。 そうか、そう言う能力か。 「---僕の口は卑しく無いからね、閉じないよ?」 近くから男の声が響く。壇上のアマはつまんなそうに肘を付いた。 『五黒院のお坊ちゃんが、随分と偉そうじゃない』 立ち上がってすらいる超有名財閥の五黒院の一人息子は、 ユウ「---はい、僕は偉いですから」 屈託なく笑った。 俺は、四方に伸びた影を一つに伸ばす。 バキリ、と嫌な音を立てて拘束が解ける。 『おや?そっちにもいるわね』 「わかっていることは言わなくてもいい。それよりあんた生徒会長、だろう?いいのか、俺たちを拘束出来なくて」 何が言いたい、と五黒院が振り向いた。 『あら?そこの箱入りとは違って優秀?』 「新入生ごときが最強の一角に抗うことなど出来ない、そのはず」 拘束するだけなら俺は大丈夫だ。 名前の魅守は伊達じゃない。 『ふーん、ただの勘か。じゃあそっちの雑用係弟はどう思ってる?』 アマは舞台袖を見つめる。すると、素知らぬ顔で長身で赤髪の男が俺たちを見ていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加