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すると、壇上の朱星がまた話し掛けている。燕尾服は何度か頷き、そして懐からマイクを取り出した。
カナメ『この茶番に飽きた方はもうお帰り下さい。お嬢様がそう為されたように、そうしてもらっても結構でございます』
そう言うと、雛月と朱星が動き出し、雛月は外へ、朱星は一人の女生徒の所へ。
朱星は踞っている少女を肩に担ぎ、外へ出ていった。
少女は気を失っているように見え、腕をだらりと下げており、前髪で目が隠されていた。
さて、俺も帰るか………?
ユウ「---魅守くん、君はこの人をどう思う?」
突然五黒院が俺に話し掛けてきた。
どう思うって………
シラサギ「どうとも思わないな、ただの生徒会副会長だろうよ。もし五黒院、お前が越えたいと思うなら協力しないこともないが、生憎今は昼なんで殺る気がしないね」
席から立ち上がり、未だに倒れ臥している雑魚を踏み台にして出口へ向かう。
シラサギ「雑魚は雑魚らしく、誰かの糧にでもなっていろ」
この場に居るほとんどの相手へ挑発して俺は体育館を後にした。
--------
ユウ「---ふむ」
思考に浸る。
この油断も隙もない微笑を貼り付けた男に勝てるかどうかを、自分の能力が通用するかどうかを、ただひたすらに考える。
考える、と言う行為は人間として最も知的な行為だ。だから、ただひたすらに、自分の勝率を計算していくが、
男は、くすりと笑った。
ユウ「---何か可笑しなことでも?」
カナメ「いいえ、必死なのだなぁと。悠様は考えることがお好きなのですか?」
ユウ「---少なくとも、知的ではあるでしょう。空にただひたすら手を伸ばし、跳び。そんな滑稽なことをするよりかは良いと、そう思っていますよ」
自分の解釈を延べると、そうですか、と答え。
カナメ「ならば、勝てもしない相手への勝率を計算していくほど、馬鹿馬鹿しいことは在りませんよね?」
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