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校長『で、あるからして---』
同じ話が延々と続いている。周りはほとんど寝ており、眠っていないのはほんの数人であった。
黒髪の長身であったり、目付きの鋭い者であったり、白い髪に赤い目の少女も居た。
全員が全員、つまらなそうな表情で周りを見ている。そして、起きている者を見て、愉しそうに口を開いた。
校長『………ふむ、残ったのはこれだけかね?』
突然話を止めた校長が、私たちを見ている。
校長『じゃ、今起きてる君たち、Sクラスね。それじゃあ全員起こすから。---起きてね?』
校長がマイク越しにそう言うと、周囲の者たちは苦しみ出した。
「あ、あぁ………がっぁぁああああ!?」
「やめてくれ……やめろぉぉおおお!!」
私は突然起きたこの地獄絵図に、ただ戦慄いていた。苦しむ表情の醜さに、声も掛けられず震えて耳を塞ぎ、蹲ることしか出来ない。
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五月蝿い蟲たちだ。直ぐにでも滅ぼしたくなる。
私は苛立たしさに思わず力を発動しそうになり、兄上の言葉を思い出して止めることにした。
ただ、この学園の新入生が、壇上にいる禿爺の力にこれほど弱いとは。
はっきり言って、この程度の暗示を受けて眠るとは、がっかりだ。
私は周りの蟲を一瞥し、起きている者たちを観察した。
見たところ、異形の者も居るようで、猫又やら妖狐なんかもいるようだ。
髪の半分が蒼く染まっている男が、此方を見つめ、気持ち悪く笑うので、堪らず嘲ってやった。
そいつの影は四方に濃く貼りついていて、どうやらそれがそいつの力らしかった。
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