隠せない気持ち

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なかなか泣き声が止まない。 様子を見に部屋を覗いてみると、桔平くんは真弥ちゃんを抱っこしていた。 「俺こういうの苦手なんだよ。交換。」 そう言って真弥ちゃんを私に渡した。 背中を撫でたりするうちになんとか泣き止んでくれた。真弥ちゃんはあんまり人見知りしない子なのかなあ。私と面識全然ないのに…抱っこしている私の胸にしがみついてる。なきすぎたせいか、咳が少しひどくなってしまっていた。 「ありがとう助かった。」 「よかった。咳つらそうだよね、ゼリー食べたら落ち着くかなあ?」 「今持ってくるからリビング行ってて。」 「うん。」 ゼリーを食べたら真弥ちゃんの咳も落ち着き、抱っこしている私の腕の中で眠ってしまった。 「可愛いなぁ。弟に妹かあ…桔平くんが羨ましいよ。」 「そう見えるだけでしょ。彩が思うほど良いもんでもないよ。」 急に暗い表情になる桔平くん。 「母親が違うんだ。俺とこの2人じゃ。」 「え…?」 ってことは、さっきのお母さんは桔平くんの本当のお母さんじゃないってことか。確かに、2人とは歳が離れ過ぎてるもんね…。今の時代、離婚再婚なんて珍しいものでもないし。 「あの母親だって、俺を良いように使ってる。今みたいに。意外と肩身狭いよ、はは。」 困り笑いをしている桔平くん。 「そうだったんだね。ごめんね、適当なこと言っちゃって。」 「いやいや、こんな事話すつもりなかったし。ただの愚痴だと思って聞き流して。」 「うん。」 今日またひとつ、桔平くんを知った。
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