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「アイ・ノウ」 唐突に彼女が言葉を発したことに、秋穂は少し戸惑った。 (”あいのう” ……?) アイノウ。I know。直訳すれば、”私は知っている”。 この言葉だけでは意味をなさない。何も分からない。きっと、次の言葉が控えているのだろう。ちょっと間が空いているだけで。 そう考えて秋穂は待った。しばしの時間が経過した。しかし――次の言葉が出てくる気配は一向になかった。 彼女はそれきり、口をつぐんでしまっている。なぜだかこちらをじっと見ながら。 ――自分に何かを要求しているのだろうか? 困惑しながら、秋穂は先ほどの言葉の意味を考え始めた。
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