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「つれないなぁ…それで?その候補者の能力名は?」 能力名とは、各々が有する能力を大まかに示したものである 「能力名は「速」です」 「ほう、速と。速を有するものはいくらでもいるしそんなに上位種ではないだろ?何をそんなに興奮しているんだい?」 「それが、現存するどの速を有する者たちより…最速かとっ!」 その言葉にピクッと目尻が反応する 「それは、この炎帝の炎よりも速いのかい?」 「…お答えできかねます…」 この訪問者の忠義心からか、本当の事を伏せているのだと、炎帝は察する 「ふむ、僕の炎よりも速い者か…一目あってみたいな」 決して不貞腐れるわけでもなく、純粋に嬉しそうな表情を浮かべる 「で、その子は今何処に?」 「それが…東方の小国同士が領土問題で戦争をしているのはご存知で?」 こくりと頷く炎帝 「その国境付近を守る後方部隊、数はおよそ数千、その大軍が小一時間で全滅したとの知らせが下のものより入りまして」 「まさかその速の子が全滅させたとか言わないよね?」 「………」 「えっ…嘘でしょ?」 炎帝の爽やかな微笑も、流石に一筋の汗が流れる 「だってそこまでの大軍となると処理できるのは僕とか教員レベルだよ?」 この特校では炎帝は創設者として例外だが、序列が存在し強いものは毎年一度行われる序列を決める序列戦と呼ばれる行事で、在学三年以上の者の上位13名が教員となれる制度がある。 その13名ですら数千もの大軍ともなると、難しいものも出てくる そんな所業をやってのけたものがいる。しかも能力名は「速」決して強い能力ではない。 この特校において「速」の能力者は、能力が行使される部位にもよるが、足が速い者は伝令や訪問者の様なスカウトなど主に裏方に多いもので、はっきり言って地味なイメージが多い
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